ファイナンシャルプランナー(FP)資格を取って転職するぞ!

その人は営業先のお客さんで某生命保険会社の支店長をしている人だった。
「あなたが入院されたって伺ったもので、突然来てしまいました」
支店長といっても年はまだ若く、たぶん30代の真ん中くらいだと思う。
大きな花束を持ってきて彼は私にこう言った。
「●●さんはとても誠実で頭のいい方ですよね、
以前からその仕事ぶりには感心していたんですよ」
うそ?私のことをそんな風に評価してくださる方がこの世にいたなんて…。
私は点滴の針がズレそうになるのもかまわず、
不覚にも涙をポロポロ流してしまった。
「●●銀行の女性総合職はかなりお仕事もハードなのでしょうね。
もし、体調が回復されたらぜひ一度私にご連絡をいただけますか?」
その人は携帯番号とメールアドレスの入った名刺を置いて帰って行った。
それは粉雪が舞う2月のことだった。

それから1ヵ月後…。どうにかこうにか会社に行けるくらいに
体の調子は回復した。予想通りだけどすでに上司やチームの精鋭たちは
私をおミソ扱いにしているのを肌で感じた。たぶん人事異動も近いのだろうな。
私はたった1年未満で職場の第一戦から脱落してしまったらしい。
かと言って一般職の仕事をさせられるわけでもなく、中ぶらりん。
なんていうか覚悟はしていたけど、この状態はかなりこたえた。
今度は体じゃなくて心を病んでしまうかもしれない…。
そんな時ふっと、あのお見舞いに来てくれた
保険会社の支店長さんのことを思い出した。

そして数日後、その支店長さんにお目にかかった。
はその人はいきなり私にこういった。
「もしあなたに転職の意志があるなら、
うちの会社で働いてみる気はありませんか?
我が社は優秀で誠実そうな女性保険外交員を常時捜しているんです。」

突然のお話しに私はちょっと動揺した。
●●生命は誰もが知っている有名な保険会社だ。
でも保険の外交員っていうのはいわゆる「保険のおばちゃん」ってこと?
せっかく総合職で入社した大手銀行を退職して、
営業成績がすべての保険会社の外交員になるのってどうなんだろう?

私は悩んで、悩んで、悩み抜いた。
でも今の自分の職場での状況が向上するとはとても思えなかった。
肩書きや会社名にこだわって、
ただこのまま会社に飼い殺しにされるくらいなら、
求められている場所で、一歩を踏み出してみてもいいのかもしれない。
約1ヵ月悩んだ後に私は会社に退職願いを出した。
夏のボーナスをもらって会社を辞める決心をした。

それと同時に例の保険会社の支店長に再び会いに行った。
「6月で退職することを決めました。もしまだ保険の外交員を募集していらっしゃるなら、秋から採用していただけないでしょうか?」
彼は即座にこう聞いた。
「6月末に退職するのになぜ秋から入社したいのですか?」
私は支店長さんの目をまっすぐに見てこう答えた。
「9月のファイナンシャル・プランニング技能士2級の試験を受けて
からこの新しい仕事を始めたいのです。」

支店長さんは「それは素晴らしい。ぜひ頑張って合格してください。
あなたの活躍を大いに期待します。」